【特集 あなたの知らないコンクリートの世界】 第5回「コンクリートはなぜ固まる?」
これまでフレッシュコンクリートの話をしてきました。まだ固まっていないドロドロの状態です。これが、ビルの柱や壁のカチカチの状態になっていく過程について説明します。
セメントの粉は、水と触れると化学反応を起こして固まります。セメントは石灰石などの原料を使ってセメント工場で製造しますが、その時に、水と化学反応を起こすようにつくるのです。この化学反応のことを「水和反応」と呼びます。理科の実験で2種類の物質を混ぜると化学反応を起こして発熱し、化合物が生成されるのと同じような現象で、セメントと水による化学反応の結果、固まった化合物ができるということです。化学反応ですので発熱しますが、セメントと水の反応は非常にゆっくり進むため、熱々にはなりません。ほのかに温かくなる程度の発熱となります。
コンクリートが固まるのはこの性質を用いています。セメントと水を混ぜる際に、砂〈細骨材〉と砂利(砕石)〈粗骨材〉も一緒に混ぜてやると、これらが混ざった状態で固まって、あたかも単一の物質のようになります。これが固まったコンクリートです。第3回「コンクリートの製造」において、コンクリート用のミキサーに材料を投入し、ミキサーを回転させて、材料に偏りがなく均質になるまでしっかりかき混ぜると説明しました。このかき混ぜを始めるとき、セメントの粉と水が初めて触れることになります。ここから「水和反応」と呼ばれる化学反応がスタートし、コンクリートが固まり始めます。水和反応はゆっくり進むので、急にはカチカチにならず、数時間程度かけて形が定まり、数日から数週間くらい経つと、硬くて強いコンクリートになります。第4回「フレッシュコンクリートの性質」で説明した、スランプ試験やテストピースの作製、それから実際に柱や壁をつくるために型に流し込んだりする作業は、フレッシュコンクリートが固まり始めるまでの短時間でやってしまう、やってしまわなければならない、ということになります。
よくある誤解です。コンクリートは水が乾いて固まる、と思っている人が多いようですが、そうではありません。これまでの説明の通り、セメントと水による化学反応の結果、固まるのです。水は乾いてなくなってしまうのではなく、セメントとの反応により固まった物質へと変化するのです。
次回は、第6回「コンクリートの強度を調べる」です。お楽しみに!